第23章

佐藤隆一は何も言わず、ただ冷たい目で前を歩く水原遥の背中を、その姿が見えなくなるまで見つめていた。

植田真弥が水原遥とショッピングをしている時、何気なく「あの日、写真館で停電を起こした犯人が見つかった」と言った。

水原遥は彼の方を見た。「そう、誰?」

実は彼女の心の中では既に犯人を察していたが、確認したかった。

「水原羽美の友達だよ。あの日君も会ったはずだけど、名前は覚えてないな」

植田真弥は日々覚えることが多すぎて、重要でない人物の名前まで記憶する気はなかった。

「飯田郁美?」

あの日、水原遥は写真館で飯田郁美を見かけて驚いていた。まさか本当に彼女が仕掛けたとは。

でも彼女...

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